専門外来に1年通院しても治らなかった尿もれが止まった!産後の尿もれ改善のポイントとは?

産後のボディケア

医者でも治らなかった産後の尿もれが改善!

 

こんにちは、院長の野田です。

今回登場の患者さんは、産後1年経っても尿もれが治らない……とお悩みのJさん(40代女性)

 

出産後も中野区にある東京警察病院の女性専用外来(そんなのあるんですね!)に通院し、尿もれ改善のための骨盤底筋のエクササイズ指導を受けていたそうです。

しかし彼女いわく「教わった通りにやってたつもりなんですけど、本当に骨盤底筋を動かせているか全然ピンとこないまま、1年間繰り返してきました……」とのこと。

ピンとこないままの通院では当然尿もれは改善するはずもなく、悩みに悩んで当院へいらっしゃいました。

 

なぜ病院で指導された骨盤底筋エクササイズでは尿もれが改善しなかったのでしょうか?

産後の尿もれをエクササイズで改善する、という考え方自体は間違ってはいないです。

よく「産後の尿もれは骨盤矯正で改善!」というようなキャッチフレーズも聞きますが、いわゆる「産後の骨盤矯正」だけでは産後の尿もれをはじめとしたお体のトラブルを改善することはできません。

なぜなら、トラブルの原因の主軸となっているのは筋肉だからです。

 

産後のリカバリーは「骨盤矯正」よりエクササイズが重要!

例えば骨折した人がいたとして、骨をつなげばそれだけで骨折前の元の状態に戻るでしょうか?

骨をつなげるためにはギブスで固定しますが、その間に周囲の筋肉は使われることがなくなり、やせ細ってしまったり機能が低下してしまいます。

本当の意味で元の体に戻るためには、折れた骨をつないだ上で筋肉の働きも元に戻さなければいけません。

それと同じ事で、産後の女性も妊娠中に体のバランスが崩れることで上手く動かせなくなってしまった筋肉の機能を回復させることが必要なのです。

骨折の場合はそれをおこなうのがリハビリですが、産後女性の場合はその役割を担うのがエクササイズになります。

そのため私たちセラピストは患者さんの体の回復具合に応じて適切なエクササイズを指導し、実行させていかなくてはいけません

単に整体の手技だけで「骨盤を戻しました!」といっても、それだけでは本当の意味で産後の体を改善したとは言えないのです。

 

大切なポイントは「尿生殖隔膜」

上記の通り、産後女性の尿もれの改善のためにはエクササイズが必要なのですが、ではなぜ病院で指導されたエクササイズでは改善しなかったのでしょうか?

Jさんに確認したところ、病院で教わったのは「お尻の穴を持ち上げるように締めて〜」という、いわゆるよくあるタイプの骨盤底筋体操のみだったようです。

残念ですが、それだけでは産後の尿もれを改善することは確かに難しいです。

 

産後の尿もれに大きく関わっていると言われているのが骨盤底筋(骨盤底筋群)です。

骨盤底筋は3層構造になっていて、

  1. 骨盤内の臓器を支え、引き上げる作用を持つ骨盤隔膜
  2. 膣や尿道の開口部周辺を支え、開閉をおこなう尿生殖隔膜
  3. 表層部で膣・尿道・肛門の開閉をおこなう括約筋

に分けられます。

その中でも、産後の尿もれ改善に特に大切なのが、2の尿生殖隔膜です。

 

産後の尿もれ改善のポイント尿生殖隔膜にあり

プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 より引用

 

便宜上、括約筋を除いていますが、これが骨盤底筋のイラストです。

イラストの中で中央より上部、恥骨結合と左右の坐骨結節を結んで三角形に広がっている膜のようなものが尿生殖隔膜です。

尿生殖隔膜に大小二つの穴が空いていますが、大きい方が膣口で、小さいのが尿道です。

まさにその名の通り「尿道」と「生殖器」を「隔て」ている「膜」なわけで、産後の尿もれ改善はいかにこの部分の機能を回復するかがポイントとなります。

 

尿生殖隔膜のすぐ下に空いている一番大きい穴が肛門ですが、見ての通り尿生殖隔膜は「尿道」と「生殖器」だけに作用しているため、肛門の働きには影響を与えません。

つまり肛門を締めるだけの運動では尿生殖隔膜に効果的に作用させることができないのです。

先述した「お尻の穴を持ち上げるように締めて〜」というエクササイズだけでは産後の尿もれを改善することは難しい、というのはこれが理由です。

産後の尿もれを改善させるためには、より尿生殖隔膜にフォーカスした方法でのエクササイズを指導していく必要があるのです。

 

「締める」のではなく「動かす」のが大切!

尿生殖隔膜にフォーカスした方法でのエクササイズとはどのようにすればいいのでしょうか?

産後の尿もれ改善のためには、単に骨盤底筋を「締める」のではなく、あくまでもポイントを定めて「動かす」ことが必要になります。

力任せに「締め付ける」のではなく、骨盤底筋の動き、特に尿生殖隔膜の動きを理解し、その動きを妨げずに更に大きく動かすことができるよう、動かしたい部位に意識を持っていくことが大切です。

言葉で言うのは簡単ですが、しかし実際にはこれがなかなか難しいのです。

Jさんには、こうすることが大切なんですよ、と、秘訣をちょこちょこっと指導してあげました。

 

「そうなんですか?そんなこと警察病院でも教えてくれませんでした!」

うん。

たぶん病院でも教えてくれないと思います、そんなこと(笑)

 

しかし実際に2回目の来院にして「骨盤底筋が動くようになってきたのがわかりました!」とのこと。

4回目の来院の頃にはすでにかなり改善した様子で「だいぶ外出するのが怖くなくなってきました♪」という嬉しい報告をいただきました。

 

これでとりあえずは一安心ですね。

諦めずに当院へお越しいただいて良かったと思います、心から。

 

まとめ:産後の尿もれを本気で改善したい貴方へ

産後の体を本気で改善したい貴方へ

 

産後の尿もれを効果的に改善するためには、

  • 産後の尿もれの原因について正しい知識がある
  • 骨盤底筋の仕組みと働きをしっかり理解している
  • 手技だけでなく、正しいエクササイズの方法を指導してくれる

これらの条件を満たした先生やセラピストにしっかりみてもらうことが大切です。

 

更に、今回は骨盤底筋についてのみフォーカスして書きましたが、最終的に産後の尿もれ改善のキーワードとなるのは骨盤底筋を中心としたインナーユニットの改善です。

 

産後の骨盤矯正とインナーユニット

プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 より引用

 

インナーユニットとは、胴体の深層部の4つの筋肉、横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋の総称で、産後女性のボディトラブルの改善において骨盤矯正よりはるかに重要な役割を担っています。

インナーユニットについての詳細は下記のリンク先を参照してください。

[blogcard url=”https://noda-chiro.jp/course-afterbirth#Step5″]

 

骨盤底筋のエクササイズも単に骨盤底筋を強化するだけが目的なのではなく、骨盤底筋を正しく使えるようになることで最終的にインナーユニット全体としての連動性を回復させていくのが真の目的です。

単に「締める」のではなく「動かす」のが重要というのはそういうことです。

 

骨盤底筋をインナーユニットの一部として正しく使えるようになることで正しく腹圧をコントロールすることが可能となり、それが本質的な尿もれ改善につながるのです。

そこに着目せず、いたずらに骨盤底筋ばかりを強化するよう指導してもダメです

産後の尿もれ改善のために整体院を選ぶ際には、そこまでしっかり指導してもらえるような先生を選んでください。

 

もちろん当院でもお待ちしています。

どのような悩みでもお気軽にご相談ください。

 

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