帝王切開だったら産後の骨盤矯正は必要ない? 〜 帝王切開と産後のボディケアについて

産後のボディケア

帝王切開と骨盤のゆがみ

 

こんにちは、院長の野田です。

患者さんからよく聞かれる質問のひとつに

「帝王切開で産んだら、骨盤って開かないんですか?」

というのがあります。

 

帝王切開とは何か?という説明は、専門の先生のサイトから引用させていただきましょう。

帝王切開とは、お母さんか赤ちゃんのどちらかに何らかの問題が生じ、自然分娩が難しいと判断された場合に選択される手段で、お母さんの腹部を切開して赤ちゃんをとりだす方法です。

まず、選択的帝王切開と緊急帝王切開に分類されます。選択的帝王切開とは、妊婦検診などで、正常分娩が困難であるとあらかじめわかっている場合で、赤ちゃんの成熟のみられる38週ごろに日にちを決めて帝王切開をする場合です。
緊急帝王切開とは、お母さんまたは赤ちゃんに何らかの問題が生じ、急いで赤ちゃんを娩出しなくてはならない場合に行います。

近年、帝王切開となる場合が多くなり、出産6~7人に1人の割合で帝王切開となっています。
これは比較的安全に帝王切開ができるようになったことや、少子化により貴重児のため早期に帝王切開に踏み切ることがあります。
また、高齢出産に伴い、出産に対して母体や胎児に問題が生じやすくなったこと、反復帝王切開の増加、骨盤位などの適応症の拡大などがあげられます。

花林レディースクリニック お悩み28:帝王切開の適応と問題点 より引用

 

近年、帝王切開となる場合が多くなり」とありますが、グラフにするとこのような推移のようです。

こちらは厚生労働省の保険統計資料から引用。

 

帝王切開の推移グラフ

厚生労働省「平成22年度我が国の保険統計2-11 医療機関における分娩件数と帝王切開娩出術割合の年次推移] より引用

 

余談ですが、うちの妻も二人の子供を帝王切開で出産しています。

 

帝王切開の出産というのは腹部を切開して赤ちゃんを取り出すわけですから、いわゆる普通分娩(経膣分娩)とは違って胎児が産道を通らないわけです。

一般的に「産後の骨盤が開く」と言われているのは、分娩時に胎児が産道を通り抜ける際に恥骨結合や仙腸関節が押し広げられるから、というのが理由でしょう。

だとすれば、帝王切開による出産の際には骨盤は開かない、ということになります。

 

と、いうことは。

「出産で骨盤が開く」という現象は発生しないわけですから、帝王切開で出産した際には産後の骨盤矯正は必要ないということになりますよね?

もそも出産後も産後の骨盤が開いていて、それが産後の不調の原因だというのであれば、帝王切開で出産したママさんは産後の下半身太りや尿もれ、腰痛をはじめとした不快症状などを感じることがないはずですが、どうなんでしょうか?

 

もちろんそんなことはありませんよね。

帝王切開だろうが自然分娩だろうが、産後のママさんの悩みはおしなべて共通です。

しかし「出産の際に骨盤が押し広げられることで、産後の骨盤がゆがんだり開いたままになる」という先入観にとらわれていては、それらの悩みに対して正しい対応ができなくなります。

 

そもそも骨盤が開きっぱなしになることはない?

 

そもそも出産の際に開いた骨盤が、産後まで開きっぱなしになるということはありません。

[blogcard url=”https://noda-chiro.jp/course-afterbirth#Step2″]

詳細は上記の産後のボディケアコースのページを参考にしてもらいたいのですが、

簡単に抜粋すると、

  • 仙腸関節の可動域はわずかに数ミリ程度
  • 妊娠〜出産にかけてリラキシンというホルモンが分泌され、靭帯がゆるみ骨盤が開きやすくなる
  • しかしリラキシンでゆるんだ仙腸関節の可動域もせいぜい5mm〜8mm前後
  • 分娩時の恥骨結合が開くのは30mm~40mmといわれている
  • 分娩時に開いた恥骨結合はお互い引き寄せあってすぐ元に戻る
  • 戻らない場合は恥骨離開と呼ばれ、激痛を伴い安静を余儀なくされるレベル
  • 産前と産後のレントゲンを撮影して見比べてみても、目で見てわかるほどの形状の変化はない

ということでした。

そして、産後女性のトラブルの本質となる反り腰は、出産方法に関わらず妊娠期を通して少しずつ形成されていきます。

したがって産後のボディトラブルの本質には自然分娩・帝王切開というのは関係ありません。

何れにしても改善するためには反り腰を改善して本来の身体バランスをしっかり取り戻していくことが必要不可欠なのです。

 

帝王切開の患者さんをみる際に、特に気をつけたいこと

 

関係ない、とは書きましたが、むしろ帝王切開で出産したからこそ気をつけたいポイントもあります。

それは腹筋群を切開することで腹横筋にダメージを与えてしまうため、インナーユニットの機能回復が自然分娩に比べて遅れがちということです。

 

産後の骨盤矯正とインナーユニット

プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 より引用

 

インナーユニットについての詳細は下記のリンク先を参照してください。

[blogcard url=”https://noda-chiro.jp/course-afterbirth#Step5″]

 

帝王切開では腹部を切開するため、「腹直筋」や「腹斜筋」、そして一番奥にある「腹横筋」も切り開かれます。

「腹横筋」はインナーユニットを構成する筋肉のひとつなので、この筋肉が切り開かれてダメージを受けることでインナーユニットの機能回復が遅れがちになり、通常分娩に比べて腹圧をコントロールして体幹を安定させることが難しい状態が長く続くケースがままあります。

もちろん個人差もあるので、帝王切開の患者さん全員が通常分娩より改善が遅れるというわけではありません。

しかし例えば、当院では患者さんの改善状況に合わせてエクササイズの指導を行っていますが、その際に自然分娩で出産した患者さんよりも若干シビアに経過観察と改善状況のチェックをおこなうようにはしています。

そのような配慮を重ねていくことで、帝王切開で出産された患者さんでも無理なく改善していただくことが可能なのです。

 

正しい知識を持ったセラピストを選んで施術を受ける

帝王切開と骨盤のゆがみ

 

と、いうわけで。

帝王切開後に産後のボディケアを受けるのであれば、これらのポイントをしっかり説明してくれる整体院を選ぶのが大切だと思います。

なんでも「骨盤のゆがみや開き」のせいにして、なんでも「骨盤矯正」で解決しようとするのではなく、産後女性のボディトラブルの原因である「反り腰」や「インナーユニットの機能低下」に対する知識と理解がしっかりあって、それをクライアントにしっかり説明できるような、そんな先生を選ぶことをお勧めします。

正しい知識を持っている先生であればしっかり納得のいく説明をしてくれるでしょうし、そしてはっきりと結果の出る改善メニューを提案したうえで施術をしてくれることでしょう。

もちろん当院でもお待ちしています。

不安なこと、わからないことなどありましたら、お気軽にご相談ください。

 

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