こんにちは、院長の三橋です。
日本人で腰痛に悩んでいる人は、実にその数1000万人以上にも上るのだとか。
また、腰痛といっても、その程度はさまざま。
慢性的に鈍痛を抱えている方もいれば、ギックリ腰を繰り返してしまうなんて方も。
解決にあたっては現代医学であっても、なかなか決め手に欠くもので、これが「国民病」とも云われる所以なのであります。
しかし、昨今、腰痛における医学の見解もずいぶん変わり、最近では「体幹」という側面から腰痛にアプローチしていくことが多くなってきていると聞きます。
腰痛に関しては実は医学においても原因不明な部分がまだまだ多かったのですが、「体幹」という切り口をきっかけに、ただひたすら症状を緩和するだけだった時代から、ようやく根本的解決を目指す方向に向かい出しているようなのです。
もちろん、骨盤軸整体も体幹バランスの回復に注目する以上、腰痛の根本的解決に大きく貢献出来るという訳です。
今回、妊娠出産における事例から、「体幹」と産後女性の腰痛についての関係を紐解いていこうかと思います。
妊娠中や出産後の女性を悩ます、さまざまな腰痛のタイプ
腰痛の原因は、実はさまざま。
すべての腰痛が筋肉や骨格に原因があるわけではなく、内臓の不調からくる場合もあれば、感染症や命に関わるような疾患が原因となっていることもあります。
また、精神的な不調が原因となっていることも。
もちろん当院でも、こういった重篤なケースは、すみやかに専門の医療機関を受診することをお勧めします。
今回は、こういったまれなケースは除き、一般的な腰痛の多くの原因だと考えられている、筋肉や背骨を支える組織に問題が生じてしまっているケースについて掘り下げていきます。
つまり、筋肉や靭帯、椎間板といった組織に原因があるケースということです。
出産後に多くの女性が腰痛を抱えてしまう原因について
妊娠中は大きなお腹を抱えて腰が反り返ってしまい、出産後は抱っこと育児における中腰姿勢が物理的負担として腰に大きくのしかかってくるもの。
なるほど、腰が痛むわけです。
しかし、出産後にすべての方が腰痛を自覚する訳ではありません。
また、腰痛の程度もさまざまです。
それでは出産後の女性が腰痛を抱えてしまうようになるかどうか明暗を分けてしまう原因とは、いったい何なのでしょうか?
それは、体幹バランスの崩れにあると当院は考えます。
多くの場合、妊娠から出産までの過程で身体のバランスは大きく変化してしまい、いわば以前のような「身のこなし」が出来なくなってしまうのです。
別の言い方をすると、妊娠出産を経ることで体幹バランスが崩れてしまい、以前のような筋肉の使い方をいったん忘れてしまうということです。
こういった産後女性に特有に生じる筋肉の機能不全のことを「重心の揺り戻し」といいます。
妊娠出産の過程で起こる重心位置の移動によって、脳と筋肉との協調に混乱をきたしてしまうことで、出産後はいわば筋肉の正しい使い方を忘れてしまうのです。
要は、崩れてしまった体幹バランスを回復させ、脳が忘れてしまった筋肉の本来の使い方を思い出させてあげれば、筋肉のパフォーマンスは再び元に戻るはずということになります。
そして、それは動作をする筋肉だけでなく、姿勢を保持する筋肉のパフォーマンスをも回復させることにもなるのです。
つまり、「体幹」が回復すれば、勝手に姿勢の方から良くなってしまうということ。
そうなれば、抱っこなど育児におけるさまざまな動作において、肉体的な負担をずいぶんと軽減できる訳なのです。
出産後に抱えてしまう腰痛の程度が人それぞれである理由
こういった体幹バランスの崩れ方にも、もちろん個人差があります。
出産後にはじまる育児で、腰痛をはじめとする肉体的ストレスをどれほど抱えてしまうことになるかは、体幹バランスの崩れ方の程度の「差」による部分が大きいということです。
そして、これを端的に理解できる事例が、プロの保育士さんが妊娠出産したケースとなります。
妊娠前はいくら抱っこしても問題なかったベテラン保育士さんが、自身が出産してお子さんを抱っこするとなると、いとも簡単に身体が壊れてしまうのです。
「体幹」が万全であれば抱っこや中腰をしても、さほど腰は痛まず、大きく崩れていれば痛みを抱えてしまうことになるという訳です。
出産後に「体幹」を回復させることが、ぎっくり腰の予防につながる理由
また、出産後にきちんと体幹バランスを回復させることで、ぎっくり腰のリスクを軽減することも可能となります。
それは「体幹」を支える、身体のいちばん奥深い部分を支えるローカル筋とよばれる筋肉のもつ特殊な機能によるもの。
人間の筋肉は一般に身体の奥深くを走るほど、動作というよりは、安定(姿勢保持)のために働く傾向があります。
こういった体幹部にあって、背骨と骨盤の安定のために働く筋肉をローカル筋といいます。
ローカル筋のなかでも、特に腹部において背骨に寄り添うようにして走る多裂筋という筋肉には、以下のような特徴があるのです。
“ひとつ先の動きに対して、予測的に起動する”
ひとつ先の動きを予測して起動することで、背骨があらぬ方向にまで動き過ぎたり、特定の筋肉にだけ極端な負担が掛からないように先回りするように働いてくれるのです。
これをローカル筋のもつ「フィードフォワード機能」といい、これこそが「体幹」の強さそのものであるという訳です。
要は、ローカル筋の機能が衰えてしまっている方ほど急な動きに対応しきれなくなるため、ぎっくり腰を起こしてしまいやすくなるのです。
逆にローカル筋がきちんと機能している方ほど、常に次の動作に対する準備が成立するので、「なめらかな動きがとれる」ということになります。
そして、これらローカル筋が機能するかどうかは、「体幹」のコンディション次第になるということなのです。
妊娠出産に限らず、体幹バランスを回復させることが本質的な腰痛対策になる
妊娠出産に関係のない一般の方も、長時間のデスクワークや運動不足により「体幹」が崩れてしまっているものです。
数時間以上にわたって椅子に座り続けることが、人間にとっていかに不自然なことか。
また、何かと便利になった現代生活の恩恵で、家庭においてもかつてのような肉体労働が減りつつあります。
要は便利さと引き換えに筋肉量、もっというと「体幹」の強さを失ってしまったということ。
こういったことから、腰痛とは「現代病」であるとも考えられる訳なのです。
その証拠に文明的でない生活を送る人々ほど腰痛とは、およそ無縁の生活を送っているもの。
彼らは腰に怪我でも負わない限り、腰痛なんかにはならないのです。
それは不便な生活を送っているからこそ、強靭な「体幹」を持ち合わせているから。
こんなところに実は本質的な腰痛対策のヒントがあったのです。
そして、「体幹」に直接アプローチできる施術法こそが骨盤軸整体であるという訳なのです。
コメント