こんにちは、院長の三橋です。
早いもので、もう7月。そろそろ暑さも本番に入ろうとしています。
この時期、当院の「産後のボディケアコース」にいらっしゃる出産後まもないクライアントさんたちから、よく頂く質問がコレ。
「骨盤ベルト締めないと、やっぱり骨盤って元に戻らないですよね?」
確かに薄着の季節になると、なかなか使いづらいものです。
余計に暑苦しくなるでしょうし。
そもそも、どうして骨盤ベルトって巻かないといけないのでしょう?
骨盤ベルトを巻かないと、本当に産後の骨盤は元に戻らないものなのでしょうか?
当院における見解をお話しさせて下さい。
そもそも骨盤は開いたり閉じたりしないもの
まず、出産後の女性の骨盤について、当院の見解から。
結論から申し上げると、「出産後に骨盤が開くことは、まずありえない」と考えます。
むしろ、骨盤が簡単に開いたり閉じたりするような不安定な構造であっては、上半身の重さを一手に引き受けることなど到底出来ないでしょう。
スムーズに歩くことはおろか、立つことも叶わなくなるはずです。
実際、骨盤のなかに存在する仙腸関節という関節部分は、靭帯(じんたい)という組織によって厳重に補強されていて、動くというよりも、安定させることを優先させた構造をとっているのです。
動けたとしても、ほんの数ミリ程度。
骨盤が数ミリ程度動いたぐらいで、目に見えてお尻の形が変わってしまうことは、ちょっと考えにくい訳であるのです。
産後女性の骨盤が開いたように見えてしまう本当の原因とは
実は、産後の女性のお尻が大きく見えてしまう本当の原因は、上のイラストにあるように「股関節の内旋」、つまりは内股にあると当院は考えます。
妊娠出産の過程で、「重心の揺り戻し」とよばれる現象によって出産後、お尻の筋肉が機能低下してしまうと、股関節を正しく支えきれなくなり、内股になってしまうのです。
股関節が内股に入ってしまうと、「大転子」とよばれる太ももの骨の付け根部分が外側にせり出していってしまうのです。
これがお尻の形を変えてしまう元凶を作っていたわけ。
事実、内股を矯正してあげると、皆さん、すぐにズボンがゆるくなってしまうのです。
出産後に骨盤ベルトを巻くべきケースについて
要は、最初から「骨盤は開かない」のです。
だから、締めて閉じる必要もない訳。
しかし、そうはいっても産後まもない時期は骨盤ベルトは、使うべきかもしれません。
その理由は、産後数ヶ月くらいまでのあいだは、リラキシンというホルモンの影響で非常に骨盤が柔らかい状態が続くからです。
「柔らかい」とは具体的には、骨どうしを繋ぐ「靭帯」という組織が緩んでしまっている状態を指します。
ですので、重い上半身を支えるにあたって、あまりに骨盤が構造的に柔らかい状態だと、それに代わって支える筋肉の負担が増えてしまう訳なのです。
だから、もし産後数ヶ月のあいだに腰痛や臀部痛(お尻の痛み)、恥骨痛などといった症状がある場合は、骨盤ベルトを巻いてあげるべきだと当院は考えます。
ただ、それはあくまで「開いたものを閉じるため」なのではなく、構造的に不安定な部分(骨盤内の関節部分)を物理的にサポートしてあげるため。
なので、むやみやたらに強く締める必要はない代わりに、ある程度、正確なポイントにベルトを通してあげることが大切となってきます。
出産後に骨盤ベルトを巻かない方が良いケースもある
それでは、産後数ヶ月のあいだに骨盤周辺の痛みを自覚されていないような方は、どうするべきなのでしょう?
結論から言うと、その場合、骨盤ベルトは締める必要はないと考えます。
むしろ、必要もなく骨盤ベルトを着用してしまうと、本来、骨盤を支えるはずの筋肉が甘えてしまうのです。
つまり、筋肉が弱ってしまうことで、骨盤ベルトがないと骨格を支えられないカラダになってしまう恐れが出てくるという訳なのです。
本質的な産後ケア、産後の骨盤矯正とは
ところで、産後ケアないし、産後の骨盤矯正の本質とは、いったい何なのでしょう?
それは、出産後のカラダを一刻も早く、ご自身の筋力で支え切るための訓練、リハビリテーションだと当院は考えます。
つまり、必要もなく安易に骨盤ベルトに依存するべきではなく、ベルトに代わってご自身の筋力で骨盤を支え切るための努力をなさるべきなのです。
そして、それを成し得て、はじめて産後ケア、産後の骨盤矯正が完了したと言えるのではないでしょうか。
結局、筋肉が骨格を支えている訳ですから、骨盤ベルトで関節だけ動かそうとすること自体がナンセンスという話だということ。
産後ケア、産後の骨盤矯正に、必ずしも骨盤ベルトが必要という訳ではないのです。
もし、巷にあふれる「開いたものをただ閉じるだけ」の骨盤矯正に疑問をお持ちの方がいらっしゃいましたら、当院にぜひお越しください。
充分ご期待にお答えする自信がございます。
よくある普通の整体で満足できますか?
産前産後のケアは、ぜひ専門院で。
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