こんにちは、院長の三橋です。
皆さん、なぜ出産したら産後の骨盤矯正、ないし産後ケアをしなければならないのでしょう?
それは、産んだら骨盤が開いてしまうから?
でも、当院の「産後のボディケアコース」に訪れるクライアントさんたちのなかには、妊娠出産を経て「骨盤ないしお尻にさしたる変化を感じていない」なんて方も多くいらっしゃいます。
「パンツが入らなくなった」とか、「お尻が大きくなった」といった変化を自覚していない方々です。
それでは、そういった方々には、産後の骨盤矯正、産後ケアは、そもそも必要ないのでしょうか?
巷にあふれる「骨盤が開く」というフレーズ
巷にあふれる「骨盤が開く」というフレーズ。
一般的には、「出産時に骨盤は開いてしまうもの」として認知されているようです。
それでは、通常分娩でなく帝王切開であったなら、骨盤は開かないはず。
しかし現実的には、帝王切開であったとしても、産後に骨盤周りに生じるトラブルは全くと言っていいほど通常分娩のそれと同じだったりするのです。
つまり同じように「パンツが入らなくなり」、「お尻が大きくなってしまう」ということ。
あえて便宜的に使わせて頂くと、要は帝王切開だったとしても「骨盤は開いてしまう」のです。
そもそも「骨盤が開く」とは、いったい?
もちろん当院でも、便宜的に「骨盤が開く」という表現を使わせて頂くこともあります。
しかし、現実的には骨盤は開きようがないものなのです。
少なくとも骨盤内に存在する仙腸関節とよばれる部分は、動けたとしてもほんの「数ミリ」ほど。
これがお尻の外見を決定的に左右するはずもありません。
解剖学を少しでも学んだことのある人間でしたら、容易に理解できることでもあります。
それでは何故、出産するとお尻が大きくなってしまうのでしょう?
それは、一言で言うと「内股」のせい。
大腿骨(太ももの骨)の股関節付け根の「大転子」と呼ばれる部分が、内股によって外にせり出してしまうから。
だから、厳密に言うと「骨盤が開く」のでなく、「股関節が開く」といった方が正しいかも知れません。
妊娠出産という過程のなかで体幹バランスが変わってしまうことで、股関節を正しく支えきれなくなってしまうから、お尻が大きくなってしまうのです。
出産後に「お尻の形の変化を感じない方たち」の存在が意味するもの
これらを踏まえた上で考えると、出産後に「骨盤が開いた」または「お尻が大きくなった」といった実感がさほどない方たちというのは、おそらく妊娠される前から「内股」の傾向が強かったのでしょう。
つまりは、妊娠前からすでに、いわゆる「骨盤が開いた」状態だったということ。
おそらくは、生活習慣や姿勢に問題があり、股関節を支える筋肉に機能不全が起きていたことが考えられるのです。
そして、これこそが「出産時に骨盤は開いてしまうもの」という通説を覆す、決定的な事実となろうかと思います。
それでも「産後の骨盤矯正」ないし「産後ケア」をなさるべき理由
それでは出産後、お尻や骨盤にさしたる変化を感じていない方たちというのは、他も全く無症状なものなのでしょうか?
いえ、違います。
実際多くの場合、痛みやコリなど様々なマイナートラブルを抱えてしまっているケースがほとんどなのです。
つまりは、外見上に変化が起きていなくても、「目に見えない部分」で決定的な変化が産後の女性の身体には起きているということを意味します。
妊娠出産されたことによって、コアマッスルや体幹を支える筋肉群に機能不全が起きているものなのです。
だから、妊娠前に当たり前のように出来ていたことが出来なくなってしまっていることに気付かれるはずなのですね。
このことについては、以下の事例がとても参考になるかと思います。
では。
出産後の女性にとって、真に必要な産後の骨盤矯正、産後ケアとは、いったい何なのでしょう?
それは少なくとも「ただ開いた骨盤を締めること」ではないし、ましてや「骨盤が開いたかどうか」がすべてはないはずなのです。
妊娠出産の過程で「重心の揺り戻し」によってダメージを受けてしまったコアマッスルの機能回復と、体幹を支える筋肉の連携回復こそが重要なのであり、それこそが本質的な産後の骨盤矯正であり、産後ケアであると当院は考える訳なのであります。
出産後に自覚されるさまざまな症状が、必ずしも「お尻の形の変化」を伴うものとは限りません。
また逆に「お尻の形の変化」がなくとも、腰痛や膝痛、尿モレなどといった症状を訴える方が多いのも事実。
つまりは、「骨盤ないしお尻にさしたる変化を感じていない」ような方でも、きちんと産後の骨盤矯正ないし、産後ケアはお受けになるべきなのです。
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